TECHNICAL GUIDE / 06

ダミーホイールとハブスタンドPLUSの違い

813アライメントツールズでは、ホイールを外した状態でアライメントの測定や足回りの調整を行う工具として、ダミーホイールとハブスタンドPLUSを用意しています。

どちらも車両のハブへ取り付け、1G状態でキャンバーやトーを測定・調整するための製品です。

一方、製造方法、形状管理、角度計の設置方法、対応できる仕様、運搬方法、価格などが異なります。

本記事では、両製品の違いと、それぞれに適した用途を解説します。

ダミーホイールとハブスタンドPLUSの実物比較
ダミーホイール(左)とハブスタンドPLUS(右)。対応する作業は共通していますが、本体構造と製造方法が異なります。

共通してできること

ダミーホイールとハブスタンドPLUSは、どちらも次の作業に対応します。

  • タイヤ・ホイールを外した状態での車両支持
  • 1G状態での足回り調整
  • キャンバーの測定・調整
  • トーの測定・調整
  • アーム類へのアクセス
  • セットアップ変更後の再測定
  • 自宅ガレージやサーキットでの使用

どちらも、ショップのアライメントテスターへ車両を移動せず、作業場所で測定と調整を行うための工具です。

トー測定時の対応インチは、ダミーホイールやハブスタンドPLUS本体ではなく、組み合わせるトー調整ツールの仕様によって決まります。

単に「何ができるか」だけでは、両製品の違いは分かりにくいかもしれません。違いが表れるのは、その機能を実現するための構造や測定方法です。

主な違い

比較項目 ダミーホイール ハブスタンドPLUS
本体構造 アルミ一体削り出し 鋼板と切削部品によるボルト組立
溶接 使用しない 使用しない
仕様選択 定型サイズ・寸法指定に対応 定型サイズ・寸法指定に対応
ハブ中心高さ 定型サイズまたは寸法指定 定型サイズまたは寸法指定
センターボア Φ73.2固定 Φ73.2固定
キャンバー測定 専用の角度測定面へ角度計を設置 ハブ付近の任意の位置へ角度計を設置
形状管理 同一部品上で取付部と測定面を加工 加工された部品形状と基準面で位置決め
運搬・保管 キャリーケース仕様の2箱構成 1箱でコンパクトだが重量がある
導入価格 高い 抑えやすい
主な用途 形状管理と仕様自由度を重視 導入価格と収納性を重視

ダミーホイールの特徴

ダミーホイールは、本体をアルミ削り出しで製作するアライメントツールです。定型サイズからの選択と、用途に合わせた寸法指定の両方に対応しています。

ハブ取付部、キャンバー角度測定面、トー調整ツールの取付部を同一部品上で加工し、本体に溶接部や組立部を設けていません。

接合による位置ずれ、溶接による熱ひずみ、本体を構成する複数部品の累積公差を避けられるため、当社製品の中で最も厳密に本体形状を管理しています。

車両と用途に合わせて、次の仕様を選択できます。

  • PCD
  • 穴数
  • ボルト径
  • ハブ中心高さ
  • カラー

センターボアはΦ73.2の固定仕様です。車両側のハブ径に合わせてセンターを出す場合は、対応する市販のハブリングを別途ご用意ください。

ハブ中心高さは定型サイズから選択できるほか、使用するタイヤサイズや用途に合わせた寸法指定にも対応します。

前後でタイヤ外径が異なる場合は、フロント用2枚とリア用2枚で異なるハブ中心高さにできます。

ハブ中心高さの決め方については、「ダミーホイールのハブ中心高さを決める方法」で詳しく解説しています。

複数車種での共用を希望する場合は、対応可否を個別に確認しますので、対象車種をお知らせください。

ダミーホイールキットは、本体と付属品をキャリーケース仕様のツールボックス2箱に収納します。

全体の体積は大きくなりますが、ピットツールとしての運搬を前提に、車輪付きのケースで移動・管理できる構成です。

ハブスタンドPLUSの特徴

ハブスタンドPLUSは、加工した鋼板部品と切削部品をボルトで組み立てる構造です。

メインプレートのレーザーカットされた下面と、ローラー取付部品の切削された下面を合わせて位置を決め、ボルトで固定します。

ボルト穴の隙間や作業者の感覚で位置を決めるのではなく、加工された面を位置決め基準として使用します。また、溶接を使用しないため、組立時の熱ひずみが発生しません。

ダミーホイールよりも製造コストを抑えながら、アライメント測定と足回り調整に必要な構造を持たせています。

ハブ中心高さは定型サイズから選択できるほか、用途に合わせた寸法指定にも対応します。

センターボアはΦ73.2の固定仕様です。車両側のハブ径に合わせてセンターを出す場合は、対応する市販のハブリングを別途ご用意ください。

複数車種での共用を希望する場合は、注文前にご相談ください。

本体と付属品は1箱に収納できるため、ダミーホイールよりも保管時の体積を抑えられます。一方、定盤や付属品を含めた箱全体には重量があるため、軽さよりも収納性を重視した構成です。

ダミーホイールとハブスタンドPLUSの運搬および収納方法の比較
ダミーホイールは車輪付きの2箱構成、ハブスタンドPLUSは体積を抑えた1箱構成です。

キャンバー測定面の違い

ダミーホイールには、デジタル角度計を設置する専用の角度測定面があります。

角度計を設置する場所が決まっているため、毎回同じ面を基準としてキャンバーを測定できます。

ハブスタンドPLUSは鉄製のため、磁石付きのデジタル角度計をハブ付近へ直接取り付けられます。

専用の角度測定面は設けておらず、作業者がハブ付近で測定しやすい位置を選んで設置します。

どちらもキャンバー測定に対応しますが、角度計を設置する基準の作り方が異なります。

製造方法の違い

ダミーホイールとハブスタンドPLUSでは、要求性能と価格に合わせて異なる製造方法を採用しています。

ダミーホイールは、一体削り出しによって本体の位置関係を管理します。

ハブスタンドPLUSは、鋼板と切削部品を組み合わせ、加工された基準面によって部品を位置決めします。

どちらも溶接を使用していませんが、同じ形状管理や価格を目指した製品ではありません。

ダミーホイールでは、本体の形状管理と仕様の自由度を優先しています。ハブスタンドPLUSでは、必要な測定・調整機能を維持しながら、導入価格、収納性、補修性とのバランスを取っています。

構造や製造方法による測定基準の作り方については、「アライメントツールは、測定基準をどう作っているのか」で詳しく解説しています。

測定結果は製品だけで決まらない

ダミーホイールの方が本体形状と角度計の設置面を厳密に管理していますが、それだけで最終的なアライメント測定結果が決まるわけではありません。

測定結果には、次の条件も関係します。

  • 4枚のレベリング定盤の高さと傾き
  • 使用する角度計やスケール
  • 測定と調整の手順

ハブスタンドPLUSで測定できない、あるいはダミーホイールを使用すれば自動的に正しい数値が得られる、という関係ではありません。

製品本体の形状管理をどこまで重視するかと、測定環境全体をどのように構築するかを分けて考える必要があります。

測定結果に関係する条件については、「測定結果を左右する、基準・剛性・測定条件」で解説しています。

用途に合わせて選ぶ

ダミーホイールが適しているケース

  • 本体の形状管理を優先したい
  • 車両専用の仕様で製作したい
  • 専用のキャンバー角度測定面を使用したい
  • 前後異径を製品仕様へ反映したい
  • レースやサーキットで継続的に使用する
  • チーム内で長期間使用する設備として導入したい

ハブスタンドPLUSが適しているケース

  • 導入価格を抑えたい
  • 自宅ガレージで測定・調整したい
  • 1箱へまとめてコンパクトに保管したい
  • 標準的な車両仕様で使用する
  • 定型サイズまたは寸法指定から仕様を決めたい
  • 初めてアライメント測定環境を導入する
  • 補修部品を交換しながら長期間使用したい

ダミーホイールは、車両仕様に合わせた専用設計と、本体形状の管理を重視する場合に適しています。ハブスタンドPLUSは、広い仕様対応範囲を必要とせず、導入しやすい価格と構成で測定環境を整えたい場合に適しています。

価格だけでなく、必要な仕様から選ぶ

ダミーホイールとハブスタンドPLUSは、価格の異なる上位製品と下位製品という関係ではありません。

本体構造、形状管理、角度計の設置方法、仕様対応範囲、収納性、導入価格の優先順位が異なる製品です。

本体形状の管理、専用の角度測定面、広い仕様対応範囲を優先する場合は、ダミーホイールが適しています。

導入価格、1箱での収納、導入のしやすさを優先する場合は、ハブスタンドPLUSが適しています。

どちらを選ぶ場合も、使用する車両、タイヤサイズ、測定場所、調整頻度を整理し、必要な条件に合う製品を選ぶことが重要です。

CHOOSE YOUR NEXT STEP

比較したうえで、次へ進む

重視する条件が決まった方は各製品へ。車両への適合や構成に迷う場合は、ご注文前にご相談ください。

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