TECHNICAL GUIDE / 04

測定結果を左右する、基準・剛性・測定条件

ダミーホイールを使用しても、測定結果が工具だけで決まるわけではありません。

アライメントの数値には、何を基準に測るか、工具が車重を受けた状態で基準を維持できるか、測定時の車両や作業環境が揃っているかが関係します。

測定結果を比較できる状態にするために、確認したいのが次の3つです。

01 基準
02 剛性
03 測定条件

1.何を基準に測るか

アライメントを測定するには、角度や距離の起点となる基準が必要です。

キャンバーを測定する場合は、水平な設置面と、角度計を当てる測定面が基準になります。トーを測定する場合は、車両のハブを基準に水糸を張り、水糸からタイヤ前側・後ろ側に相当する位置までの距離差を確認します。

測定する位置や角度計を当てる場所が毎回異なれば、車両の状態が変わっていなくても測定値に違いが生じます。

ダイヤルゲージを使用してダミーホイールの測定面を確認している様子
測定に使用する面や位置を明確にし、同じ基準を繰り返し使用できる状態にします。

確認したい点

  • 4輪を設置する面の高さと傾き
  • 角度計を当てる面
  • 水糸を張る位置
  • トーを読み取る位置
  • 測定器具の設置方法

重要なのは、基準があることだけでなく、同じ基準を繰り返し使用できることです。

2.荷重下で基準を維持できるか

ダミーホイールは、車両へ装着した状態で1輪ごとに車重を受けます。

無負荷の状態で形状が整っていても、車重によって工具が変形すれば、測定に使用する面や位置も変化します。

ここで重要になるのが剛性です。

強度は、荷重を受けても破損しないための性質です。一方、剛性は、荷重を受けたときの変形しにくさを表します。

破損しないことと、荷重下で測定基準を維持できることは同じではありません。そのため、最大荷重の表記だけでなく、使用時の変形まで考慮された構造かを確認する必要があります。

静止時の形状と車重を受けた荷重下での変形の違い
無負荷時の形状だけでなく、車重を受けた状態で測定基準を維持できるかを確認します。

確認したい点

  • 1枚あたりの設計荷重
  • 荷重が地面へ伝わる経路
  • 測定面と荷重を受ける部分の位置関係
  • 荷重下での変形に対する考え方

製品単体の形状や選定時の確認項目については、 「ダミーホイールを選ぶときに確認したい7つの項目」 で解説しています。

3.測定条件を揃えられているか

同じ車両と工具を使用しても、設置面や車両の状態、作業手順が異なれば測定結果にも違いが生じます。

特にキャンバー測定では、設置面の傾きが角度計の数値に含まれます。そのため、レーザー水平器とレベリング定盤を使用し、4輪を設置する高さと傾きを調整します。

レベリング定盤、レーザー水平器、角度計を使用したアライメント測定環境
4輪の設置面、使用する測定器、測定位置と手順を含めて測定環境を整えます。

車両側と作業手順については、次の条件を可能な範囲で揃えます。

  • 燃料積載量
  • 測定前のサスペンションの馴染ませ方
  • 測定と調整を行う順番
  • 各数値を読み取る位置

調整前後を比較する場合は、すべての条件を完全に同一にすることよりも、何を揃え、何が異なっているかを把握することが重要です。

測定日時、使用した工具、燃料積載量、調整内容などを記録しておけば、後から数値の違いを確認しやすくなります。

測定方法によって数値に違いは生じる

アライメントの数値は、使用する設備や測定方法によって違いが生じます。

ダミーホイールを使用した測定、タイヤ・ホイールを装着した状態での測定、ショップのアライメントテスターによる測定では、それぞれ測定基準や手順が異なります。

異なる方法で測定した数値が一致しないことだけをもって、どちらかが誤っているとは判断できません。

セットアップの変化を確認する場合は、同じ工具、同じ基準、同じ測定条件を使用し、変更前後を比較することが重要です。

3つの要素を分けて考える

測定結果に違いが生じたときは、車両だけでなく、次の3つを分けて確認します。

  • 基準は変わっていないか
  • 工具が荷重下で基準を維持できているか
  • 測定条件や作業手順が変わっていないか

工具の形状だけを確認しても、設置面や作業手順が異なれば測定結果は揃いません。反対に、作業手順を統一しても、測定基準が曖昧であれば比較は難しくなります。

ダミーホイールを使ったアライメント測定では、工具、測定環境、作業手順をひとつの測定システムとして考える必要があります。

次に確認する

製品仕様、選定時の確認項目、導入前のご相談からお選びください。

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