TECHNICAL GUIDE / 00
アライメントの測定方法と、ストリング法を採用する理由
アライメント、特にトーの測定には複数の方法があります。
大型のアライメントテスター、タイヤやホイールへ器具を取り付ける方法、車両の左右に糸を張るストリング法など、それぞれ測定原理や得られる情報、必要な設備が異なります。
813アライメントツールズでは、測定状態を作業者自身が確認でき、同じ条件を繰り返し構築しやすい方法として、ストリング法を採用しています。
アライメント測定で重視すること
アライメントの数値は、それ自体が目的ではありません。
実際のセットアップでは、キャンバーやトーを変更し、ドライバーのフィーリング、ラップタイム、タイヤ温度、摩耗状態などを確認しながら、車両に適した数値を探します。
そのため、一度だけ細かな数値を測定することよりも、変更前後を同じ基準で繰り返し測定できることが重要です。
ただし、再現性があれば絶対値を問わないという意味ではありません。他の設備や測定方法で得た結果と関係づけるためには、絶対値の妥当性も必要です。
同じ状態を繰り返し測れることと、その数値が実際の車輪方向を適切に表していること。アライメント測定には、その両方が必要です。
1. アライメントテスター
アライメントテスターは、ホイールへ取り付けたターゲットやセンサーをカメラ、レーザーなどで読み取り、各輪のアライメントを測定する大型設備です。
キャンバー、トー、キャスター、スラスト角などを総合的に測定でき、結果をデータとして出力できるため、車両状態の診断に適しています。
一方、設備と設置スペースが必要で、サーキットや自宅ガレージへ持ち運ぶことはできません。また、タイヤ・ホイールを装着した状態で測定するため、それらの状態も測定結果に含まれます。
2. ダイレクト測定法
タイヤやホイールへ器具を取り付け、左右または前後の位置関係からトーを測定する方法です。
レーザーとミラーを組み合わせる方式や、タイヤの前側と後ろ側で左右間距離を直接測る方式などがあります。
比較的コンパクトで現場へ持ち運びやすい一方、器具の取付状態や測定位置を毎回揃える必要があります。
左右間の距離差からトータルトーを求める方法では、それぞれの車輪が車両前後方向に対してどちらを向いているかを、合計値だけでは判断できません。
トータルトーが目標値に合っていても左右の配分が偏っていれば、ステアリングセンターがずれる可能性があります。
3. ストリング法
ストリング法は、車両の左右に糸を張り、その糸を基準線として、各輪の前側・後ろ側までの距離を測る方法です。
糸の位置と測定箇所が見えるため、何を基準に、どこの距離差を測っているかを作業者自身が確認できます。
また、左右合計のトーだけでなく、それぞれの車輪が基準線に対してどちらを向いているかを個別に測定できます。トータルトーと左右の配分を確認しながら調整できるため、ステアリングセンターも管理しやすくなります。
ただし、糸を張れば正しく測定できるわけではありません。その糸が車両に対してどの方向を向き、何を基準として設定されているかが重要です。
813がストリング法を採用する理由
813アライメントツールズがストリング法を採用しているのは、それだけが唯一正しい測定方法だからではありません。
測定状態を作業者自身が確認でき、同じ基準をサーキットや自宅ガレージで繰り返し構築できるためです。
一般的なストリング法では、タイヤ、ホイール、フェンダーなどを目安に糸を張る場合があります。しかし、タイヤは空気圧、温度、荷重、摩耗によって状態が変化します。外板部品も、車両中心線やハブ位置に対して左右対称、または平行であるとは限りません。
また、前輪と後輪では、トレッド幅やホイールオフセットが異なる場合があります。タイヤやホイールの外側から同じ距離へ糸を張るだけでは、糸が車両前後方向に対して斜めになる可能性があります。
そこで813アライメントツールズでは、タイヤや外板部品ではなく、車両のハブを測定の起点とします。
メーカー公表のトレッド幅と純正ホイールオフセットから前後のハブ面位置を求め、その差を反映して糸の通過位置を設定します。
ダミーホイールまたはハブスタンドPLUSをハブへ直接取り付け、製品上の一定した位置で測定することで、タイヤの状態や外板部品の位置に左右されにくい基準から、各輪のトーを確認できます。
絶対値と再現性
アライメントテスターとダミーホイールでは、測定の基準や、測定結果に含まれる要素が異なります。
アライメントテスターはタイヤ・ホイールを装着した車両状態から測定します。一方、ダミーホイールはタイヤ・ホイールを介さず、車両のハブを起点として測定します。
そのため、同じ車両を測定しても、表示値が完全に一致するとは限りません。数値に差があることだけを理由に、どちらか一方が正しく、もう一方が間違っているとは判断できません。
一方で、それぞれの測定方法が定義に忠実に測定され、設置、取付け、読み取りなどに含まれる誤差を小さくしていけば、測定結果は同じ車輪状態を示す値へ近づいていくと考えられます。
少なくとも、一方では明確なトーイン、もう一方では明確なトーアウトを示すような大きな相違がある場合には、測定基準や作業条件を確認する必要があります。
絶対値の妥当性は、異なる測定設備との関係を把握し、セットアップデータを共有するために必要です。そのうえで実際のセットアップでは、同じ測定方法と条件を繰り返し、変更前後の差を安定して捉えられる再現性が重要になります。
まとめ
アライメント測定には複数の方法があり、それぞれ得られる情報や適した用途が異なります。
813アライメントツールズがストリング法を採用しているのは、測定基準を作業者自身が確認でき、同じ測定状態をガレージやサーキットで繰り返し構築できるためです。
タイヤや外板部品ではなく車両のハブを起点に基準線を設定し、実際の車輪方向を適切に表す数値を、同じ条件で継続的に測定します。
その測定値をドライバーのフィーリングやラップタイムと結びつけ、セットアップの変更を確認し、必要な状態をもう一度再現できること。それが、813アライメントツールズの考えるアライメント測定です。
READY TO MEASURE?
作業に必要な工具を確認する
普段のタイヤ交換工具に加え、測定のために用意するのは4点。実際に使用している工具と、それぞれの役割をまとめました。